太田通信 2013.10

~「ものづくり補助金」が中小企業にもたらした可能性~
平成26年2月21日、島田信用金庫藤枝支店にて開催された「藤枝地区若手経営者勉強会」において、弊社代表がパネラーとして参加し、「補助金の活用」をテーマとしたパネルディスカッションに登壇いたしました。
この勉強会は、藤枝地区の若手経営者を対象に、経営に関する知見を共有し、地元企業の発展を支援する目的で定期開催されており、今回は第5回目の開催となりました。
勉強会のテーマは、近年多くの中小企業や小規模事業者にとって注目度の高い「補助金制度の有効活用」。その中で、弊社が平成24年度補正「ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金」(通称:ものづくり補助金)を活用した具体的な事例についてご紹介する機会をいただきました。
補助金活用のきっかけと背景
弊社は、少数精鋭で部品加工を手がける中小製造業者です。日々の業務では、高精度かつ短納期な試作品や小ロット部品の受注が増える中、従来の設備や工程では限界が見え始めていました。
そんなときに目にしたのが「ものづくり補助金」でした。
この制度は、経済産業省が中小企業の技術開発・設備投資を支援するものであり、特に「高付加価値な製品・サービスの創出」や「革新的な生産プロセスの導入」を目指す企業にとっては、力強い後押しとなるものです。
弊社では、「当社独自構築生産管理システムを組み込んだ5軸複合旋盤の導入」を事業計画として申請。結果的にこの取り組みが採択され、弊社としても初の大型設備投資を実現することができました。
現場にもたらした変化と成果
補助金によって導入した5軸複合旋盤は、複雑形状の部品加工や多工程の一括加工を可能とし、製品の品質向上と納期短縮に大きく貢献しました。従来なら複数の工程や機械を経由していた加工が、一台の設備で完結するようになったのです。
加えて、弊社独自の生産管理システムと連携させることで、作業工程の可視化・効率化も実現。加工進捗や機械稼働状況をリアルタイムで管理できるようになり、社内全体の生産性も向上しました。
こうした変化は、社員のモチベーションにも波及しました。設備が新しくなったことで現場に活気が生まれ、加工技術の幅が広がったことによって、「新しいことに挑戦できる」という空気が社内に育ち始めています。
小規模企業だからこそ、補助金の活用を
勉強会のパネルディスカッションでは、弊社代表から「補助金活用は大企業だけのものではなく、小さな企業こそが活かすべき制度である」と強調させていただきました。
もちろん、補助金申請には書類作成や計画立案、実行後の報告業務など、一定の手間が伴います。しかし、それらを乗り越えることで得られる成果は、非常に大きなものです。特に私たちのように、人的リソースや資金に限りのある企業にとっては、補助金によって「通常では届かなかった設備や仕組み」に手が届くというメリットがあります。
発表の中では、「補助金のおかげで、私たちのような小さな会社でも大きな投資に踏み切ることができた。これは経営者として大きな転機となった」と率直な想いもお伝えしました。
勉強会での反響と今後への期待
ディスカッション終了後には、参加された他の若手経営者の皆様から、多くの質問や反響をいただきました。「実際に採択されるまでに苦労した点は?」「事業計画の立て方のコツは?」「補助金後の運用体制はどうしているのか?」といった具体的な質問が相次ぎ、補助金に対する関心の高さを改めて実感しました。
また、地域金融機関である島田信用金庫のご担当者からも、「地域の中小企業がこうして補助金を活用し、前向きな投資をしている姿は大きな励みになる」とのお言葉をいただき、私たちの取り組みが地域全体の活力にもつながることを再認識する機会となりました。
最後に~補助金は手段であって目的ではない~
補助金制度は、あくまで企業の取り組みを後押しする“手段”です。制度そのものが企業を成長させてくれるわけではなく、私たち自身が「どう活かすか」「活かした後にどう成長を描くか」が問われています。
今回の補助金採択と設備導入は、弊社にとって大きなステップであると同時に、さらなる挑戦の始まりでもあります。
ものづくり補助金を活用し、私たちはより高品質な製品を、より短い納期で、より多くのお客様へ提供する体制を築きつつあります。これは単なる“改善”ではなく、“革新”への道だと感じています。
これからも弊社は、地域の一員として、また製造業を支える中小企業として、技術と信頼を磨き続けてまいります。そして今後も、こうした勉強会や地域交流の場を通じて、情報と経験を共有し、共に成長していける経営者仲間と歩んでいけることを願っております。